生命保険数学

現価率と割引率

現価率

現価 P を時間 1 あたりの利率 i で 時間 t だけ運用した終価が S であるとすると、

S= (1+i)^{t} P

の関係式が成り立つ。これを P について解くと、

P= ( \frac{1}{1+i})^{t} S

となる。ここで、\frac{1}{1+i} は、 終価 S から現価 P を求める場合の、現価 P から終価 S を求める場合に用いる掛け目 1+i に相当するものである。

現価を求める際に使用する率であることから、 \frac{1}{1+i}=v とおき、v を現価率という。現価率を用いると、

P = v^{t} S

と書き表すことができる。

割引率

次のような問題を考えよう。

時間 1 だけ運用すると終価 1 となるような現価はいくらか?

答えは現価率 v である。実際、

v(1+i) = \( \frac{1}{1+i} \cdot (1+i) =1

が成り立つ。

このことは、言い換えれば、時刻 1 に金額 1 を用意したいのなら、(当たり前であるが) 時刻 1 で即座に金額 1を用意するか、最初に金額 v だけ持って利率 i で運用すればよいということになる。

通常の i>0 の下で考えれば、v= \frac{1}{1+i} < 1 であることに注意すると、差額 1-v >0 は、本来金額 1 を用意しなければならないところ、時間 1 だけ早く金額を用意したことによって得した金額(割り引かれた金額)であると考えられる。

そこで、1-v= d とおき、d を割引率という。定義から、

(1-d)(1+i)=v(1+i) =1

という関係式が成り立つ。また、

d =  \frac{i}{1+i}= vi

である。

このことはまた、i の現価が d であるということもできる。

割引率と借金

割引率のイメージを掴むため、少しばかり具体的な問題に応用してみよう。

あなたは消費者金融で100万円借金をしていて、年利10%で利息が付くものとする。そして、毎年初に借金を返済しているものとする。借金を少しずつでも減らしていくためには、最低いくらより多く返済しなければならないか?

この問いにぴったり答えるものが割引率である。

(1-d)(1+i) =1

という関係式を使おう。ここでは i=10 % =0.1 であるから、d  \fallingdotseq  0.091 となる。上式の両辺を100万倍すると、

1000000(1-d)(1+i)=1000000

ここで、1000000(1-d) は、年初に 1000000d を返済した場合の残りの借金額である。それに利率 i =10 %で利息が付くと、年末には借金が100万円に戻っている。

つまり、少しずつでも借金を減らしていくためには、最低でも 1000000d =90910 円よりも多く年初に返済しなければならない。

返済額がこの額を下回った場合、1年後の借金はさらに増えていく。一方で、ちょうどこの額だけを毎年初に払い続けるなら、借金の水準は利息と釣り合って維持される。つまりは、1年間にかかる利息をその時点で前払いしているということになる。

このように、割引率 d は前払利息としての意味合いを持っている。

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